陣盗りに明け暮れる我々。いい顔を広めたく、旨味にありつける為に?「手前」と「凌ぎ」なのですよね、渡世って結局。 澄まし取り繕っても、嫌臭を互いほのかに結ぶ異種の獣の箱庭区画。同朋との連綿ですら曖昧へ陥り、猶(なお)もなく諍いに繰られてばかり 。
嘗て、きうっつぁんが強面学生の日常漫画に一貫させていたのは”駆け引き”。
ほんのそこいら、町場での機転。辣腕じゃなくたって袖の一寸掴みで不利を覆し<対等>へと持ち込めうる標識の発露。兎にも角にも「い・ま・コ!コ!を放たれるべく」と謳う渾身方便劇。ネタはいっぱいあるが時間がないと画業の辛さを漏らしていた頃、人気投票No.1支持されておりましたとさ。
やがて…自らの指軸で固定させた描写と吹き出し台詞の順番によるコミック表現に加えてVシネマ監督という領域を得、実写=俳優の動態に於き吐息から痛覚まで受肉せしめ、より鋭立した具現と成せます。始動時分を同期とする二名のA級残滅監督 武&隆。撒き方と質感似た黒ずんだ血糊、銃と亡骸の玩び及び弄び方、前後で挟み潰して中途の殺傷・倒壊を抜く演出といった共通項に痺れ慄えておりましたLDなる季節も甦る。Vocal Workみたく口先へ感情を奔流させてはチャカ♪バカな勃発の刹那に塗(まみ)れた雷童たち。
『カルロス』 主演:竹中直人 / ブラジル日系3世<シロウ・ヒラタ>一派は小所帯乍ら
サンパウロで悪名を馳せた挙句、拠を移さねばならなく渡海して山城会下部組織に甘んじる…
ワケがなく、上納への圧迫に掛けて出自・風体も含め”コケ”にされている唯それだけから殺戮絵巻を紐解いていく。南米育ちの気怠い遅効と沸き立つ粗暴は薄皮の表裏同枚であり、親戚の母娘への訪問は美麗寡黙の弟(サブ・マシンガン常用)のみ連れ律儀に手土産欠かさないし、起業の苦心仄めかし自立を示す事で社会懸念を避けてもらう細心さに貫かれている。毛違いな不自然さにて英(はなぶさ)を養おうフシが奥ゆかしくも映る。この温全な<秤>を喪失させられ当然、測定保値に超過量の炸裂へ至る。抓った甲から、災いが総身へ廻り始める件。
(1991年・VHS)
『BE-BOP HIGH SCHOOL』 主演:庄司哲郎&岸本祐二 / 日本の高校与太郎を余り感じさせず、寧ろ架空都市の愚連隊を彷彿させる無法映画。ライヴハウス「JB」のWCで愛徳高トオルはぶつかってきた天保工業の田舎っぺを、同じく観客らの近隣学校生徒で囲み蔑んだ。しかも、一方の雄ヒロシは派手に剛拳を見舞ってしまった。頑強な副番・朴を擁しながら舐められっぱなしで煮え湯を呑んだ天保は後日、番長・梶谷一(通称:ガチャピン)が
街へ乗り込んで来て無頼を尽くす。人民抗争とは都度の所、いつだって”お行儀”に端を発して
いる。やられきっても絶狼を固持して向かってゆくヒロシ。以前拉致などされモメた、大物風・菊永の立花商や北高を束ねた連合率いるトオル。青きゆえの二人は、志向・認知・立脚・見栄・伊達・女子・自棄・難敵・意地・得物・進撃・後輩・銭奴・癒着・不信・離散・相性・奸計・方法・技術・日数・疲弊・復調・予定・持久etcといった元素群に翻弄され大雑把或いは小微妙な加減へ依るいちいち押し張り網羅の図。首部は捻りきれ!
(1994年)
『JOKER』 主演:宮崎光倫 / 巷の枠へどうにも収まりきれない野郎っている。ガタイのサイズからココロのナビまで。工場を昼間っから辞め、ぶちまけたロッカーから栄光半端印(南海ホークス6位指名・一軍登板なし)のバットと用具鞄は捨てて、似つかわしくもない
真赤なアメ車であてもなさ気に滑り去るジン君。道端の不倫修羅場からOLミキを救いだし、一宿一飯ついでにと相手の次長ヨシダから手切れ金受け渡しを担ぐが、あちらは旧知で流しの年配ヤクザモンを雇い拾われた若造三匹が増やされる。こじれた末、刻まれてくVIOLENCEシ-ンは発砲へ!一匹を亡くし残った二匹は自己都合ヤクザ見限り、抹殺。つるみまくっていた末弟格の仇討ち想いが際立つ。猟銃を入手して次長の幼娘も攫い、尚も千金狙いのメン&ウィメンへ固執する。ぶ厚い体は周囲への構えに余裕を生むのか?反応に独歩疎さのジンをミキは幾分カヴァ-し得るに及ぶ。Wetに互い踏み込まず来た由の短距離信頼には、性《さが》すら淡い。Dryに徹するではなし子供は助かっておりヨシダは「納められた」ともいう
果てへ赴く。ジン。芯へ座らされてしまう程の「門外漢」であるならば、凶厄すら札でない。
(1996年・VHS)
『鉄と鉛』 主演:渡瀬恒彦 / よくもまぁ、激渋な企画が通ったもんだと。そうしたオ-ラ、案の定全編に。で、劇場公開。中齢の元刑事私立探偵(氏名の表記呼称が無し)は、その高い調査力につき愛人による怨恨殺害事象の一葉へ責があったとされる。落命したのが有力組長の血統夫妻(婦人は身重)であった為、処刑宣告!摘出された胎児が母体外で呼吸した22時間弱がタイム・リミット。そんな時に、身代金強奪の片棒を担がされ行方眩んだ兄捜しを真摯に依頼する中学生妹が。最後の業務完遂へ挑むも、男児を誘拐・拘束・軟禁・逃走続ける主犯人
ジャンキ-金光安春は手強(しぶと)かった。探偵に寄り添う監視役の同齢やくざ矢能政男は決して匙を投げない満身創痍の彼を次第に車へ搭乗させ銃を貸与して真夜中深き追尾や援護に携わっていく。率先させずおれない心境を、大恩ある親分へ告げたりもした。主導源と為せたのは探偵本人の「姿」以外にナニでもない。準古典の系譜に連なった自己任命度に尽きよう。
即ち”尊兄”されるのだ。陳腐にあろうからこそ、安々しい説き句でならば恥じたい。
(1997年)
『共犯者』 主演:竹中直人 / まんま虚実共々八年経過のカルロス続編。強制送還の接ぎ目に紙幣を注ぎ刑務服役を離れ帰京。DVに苛まれる蕎麦屋勤めの安田聡美を夫から放つ。彼女に於いて日常茶飯と次元が違ったその暴圧は、信頼どころか安堵にまで到る確定。彼と再会した旧山城会幹部・梶弘史が執念を燃やす、お払い箱代取り立てに関わってゆく。過去撃ったこめかみの後遺症と云う拭えない因果をくれてやった先敵より今や若いの二名を託され、既に疑似世帯を何とはなくに呈している。迷い雛も三拍数鳴るんなら、束の間ではあったが思慕へすら届かさぬべき”姐”と足りえた。静謐を纏うが捌けて賢い聡美の<上等>にシロウは運転を預けると一挺渡し喜ばせた。戮事の専科人は、終局まで予めた容器然に模化と成せるのでしょう。
(1999年)
KILLERS 『Pay Off』 主演:酒井伸泰 / 5名のガン・アクション監督が集結としたワンショット・オムニバス内、一編を担当。 地下駐車場で展開する、銃器密売の緊迫と謝肉20分45秒(OP弾頭カット作業、主人公の撃鉄行為、ED用シ-ン・ラッシュ除いた本筋のみなら16分52秒)ここへ殆どに、目下な”世知”が定型圧縮されております。一見(いちげん)客である男・泉晶夫は、長(おさ)スパシェネフ + 秘書1 兵士2の女ども
<リン、ケイ、ジェイ>らと、「丸腰」を条件に決められた抵触試みる。一方的な塞ぎへ対し理に叶った風穴をクリアしてのける彼の素性とは?冷たく激しい笑い草で”ナメきった”ヒショスケへ特許的な起動をする必意はシンクロすべし!
(2003年・DVD)
「主だつ」とは、企て?
”格好”を点される。
”節支”を反らせる。
が、
こちとら<珠>じゃないのでね。
fin